真夏の肝試し

大学時代の思い出です。

 何をやっても楽しい年ごろ。夏休みの帰省中に、数人で深夜の墓地へ肝試しに行こうという話になりました。

 車に乗り、地元・群馬は赤城山の上の方にある大きな霊園へ行きます。

 山の中なので明かりもなく、周りは真っ暗です。

 墓地に到着し、懐中電灯の明かりの中、暗闇の中にうっすら見える墓石をたよりに霊園の中をキャッキャいいながら回りました。

 オバケの類は信じてなかったのですが、やはり暗闇は怖い。

頼るのは月明かりと懐中電灯だけ。  

うっすら見える墓石を見ながら、霊園のいちばん奥まで行って帰って来ました。

 真っ暗な霊園の広場で感想を言い合い、肝試しは終わりました。

 霊に取り憑かれれとか、特に何もなく帰ってきたのですが、数日後の新聞を読み肝がつぶれました。 

霊園に肝試しに行った翌日、まさに肝試しをやっていたその場所で、殺人事件が起きてたのです。

 記事には、 ヤ〇ザ同士のモメ事で、一人を車で拉致し、霊園の広場に連れて行き、拳銃で射殺した と書いてありました。

 肝試しに行く日が、あと一日ずれていたらどうなっていたでしょうか。。

 頭の中では想像が廻ります。

 肝試しでキャッキャしている若者のところに、ヤ〇ザの乗った車が猛スピードでやってきます。

 怒声が飛び交う、ただ事ではない雰囲気に、僕らは墓石の影に隠れます。

 命乞いをする声むなしく、ピストルの銃声が。

 ぼくらはあまりの恐さに、お墓にそなえてある缶ジュースを蹴り飛ばしてしまいます。

 「誰かいるのか!!」

 「ひえ~!!誰にも言いません、命だけは!!!」

 想像しただけで足が震えました。

 オバケだけじゃなく、肝試しスポットには何があるかわかりません。

 そんな事件が起こるなんて想像もしてませんでしたが、人のいない真っ暗な空間、悪いことをしたい人にとっては格好の場所ですものね。。

 ついつい浮かれてしまう夏です。 私のは若気の至りでしたが、みなさんも気を付けてくださいね。